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前科・前歴は今後の仕事や生活に影響があるのか

犯罪にあたる行為をして検挙された人には、前科や前歴がつくことになります。前科や前歴がついた場合、今後の生活にどんな影響があるのでしょうか。以下、詳しく見ていくことにしましょう。

前科と前歴はどう違う?

犯罪行為をしたと疑われて捜査機関に検挙された場合、前科や前歴がつくことがあります。
ところで、前科と前歴、言葉の響きはなんとなく似ていますが、その意味する内容はだいぶ違います。
ここでは、前科と前歴、それぞれの言葉の意味について紹介します。

前科とは

前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けたという事実のことを指します。懲役、禁固刑のほか、執行猶予つき判決や罰金刑、科料でも前科がつきます。
つまり、執行猶予がついて実刑を回避できた場合や罰金刑で済んだ場合でも前科はつくということです。
交通違反などの軽微な罪で略式起訴され、罰金・科料といった刑を科せられた人もいるかもしれません。これも有罪判決になりますので、前科としてカウントされます。
なお、禁固刑・懲役刑の場合は刑期を終えた後に罰金刑以上の刑に処せられないまま10年、罰金以下の刑は罰金を支払った後に罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときには言い渡された刑は消滅します(刑法34条の2)。
捜査機関のデータベースに記録は残るものの、後述の犯罪人名簿からは抹消されますし、前科を理由とした資格制限もなくなります。

前歴とは

一方前歴とは、被疑者として捜査対象になった事実を指します。前科よりも広い概念で、最終的に不起訴になったケースも含まれます。
不起訴には、嫌疑がない場合、嫌疑不十分である場合、起訴猶予の3パターンが考えられますが、いずれの場合も前歴は残ってしまいます。
また、一応検挙はされたものの「刑罰は必要がない」と警察が判断して微罪処分になった場合、少年事件で審判を受けた場合も前科ではなく前歴が残ります。

前科・前歴があるとどうなる?

前科・前歴があると警察や検察庁のデータベースに記録が残ります。この記録は、その人が亡くなるまで消えることはありません。また罰金以上の刑を受けた場合には、本籍地の市町村の犯罪人名簿に一定期間記録されます。
ただし、前科・前歴は非常にセンシティブな情報ですので、これらのデータベースや記録簿を一般の人は見ることはできません。また、前科・前歴の有無を一般の人が照会することもできません。
したがって、前科・前歴の有無については本人が自分で言うか、逮捕時に実名報道されるかでもしない限りは周囲の人にもれる心配がないということになります。
もっとも周囲の人に知られなかったとしても、捜査機関のデータベースには記録が残っています。次に何かの犯罪の嫌疑をかけられたときに「初犯ではない」として不利に扱われる可能性はあるといえるでしょう。

前科については他にも不利益がある

前歴は捜査機関のデータベースに記録が残るだけですので、再犯さえしなければ、前歴があるからといって特に大きな不利益を受けることはありません。しかし前科については、他にも不利益を受ける可能性があります。

履歴書の賞罰欄に記載する必要がある

前科は「賞罰」の「罰」にあたるため、刑が消滅するまでは履歴書の賞罰欄に記載する必要があります。
もし就職や転職時にうその情報を記載して採用された場合、会社に前科についてウソをついていたことが発覚すると経歴詐称で懲戒解雇される可能性があります。

海外への渡航が制限される可能性がある

執行猶予付きの懲役刑や禁固刑の判決を受けた場合、執行猶予期間が経過するまではパスポートの発行が認められない可能性があります。
また海外旅行に行くだけでもいちいちビザを取らなければならなかったり、渡航先が制限されたりすることもあります。

一定の仕事につけなくなる

前科がつくと、一定期間、警備員、医師、弁護士などの仕事につけなくなる可能性があります。
国家資格については、前科の存在によって資格の取得制限が科せられたり、現在保有している資格そのものが取り消されたりすることもあります。
また、公務員の場合、禁固刑以上の刑が確定すると失職してしまいます。

まずは前科をつけないことが大切

前科・前歴は本人にとってプライバシー保護の必要性がきわめて高い情報であることから、データを持っている捜査機関や自治体が外部に漏らすということはありません。ただ、何も言わなければ周囲の人にはわからないとはいえ、特に重い罪で前科がついてしまった場合にはさまざまな社会的不利益を受けることが想定されます。
それだけに捜査機関に逮捕されてしまった場合、前科がつかずに済む可能性があるのであれば、まず「前科をつけないようにすること」が大切です。
本人が罪を認めている場合であっても、被害者との示談などの方法によって起訴を避けられることがあります。
もし身内や大切な方が逮捕されてしまったら、まずは弁護士にご相談いただければと思います。

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