メンズエステでセラピストや店とトラブルに!警察に訴えられたら逮捕される?
メンズエステはあくまでもリラクゼーションサービスを提供する店で、風俗店とは違って表向きには性的なサービスを提供していないという建前になっています。
しかし、実際には過激なサービスを提供している店があったり、客が女性セラピストにわいせつ行為をしたとしてトラブルになったりといったケースは少なくありません。
今回はメンズエステで店側とトラブルになった事例をもとに、店から「警察に訴えるぞ」と言われた場合の対処法についてご紹介します。
事例
私は20代の男性会社員です。
この間、マンション型のメンズエステに行き、マッサージを受けた際にキャストの胸や陰部を触ってしまいました。
サービス中はキャストは何も言っていなかったのですが、サービスが終わったあとで男性社員がやってきて、「お前のやったことは犯罪だ。会話も全部録音しているし、防犯カメラの映像もある。
示談金を100万払うか、警察を呼ぶか」と迫られました。
その場はいったん家に帰してもらえましたが、身分証と顔を写真に撮られ、SNSで晒すともいわれました。
私は逮捕されるのでしょうか?また示談金100万円も支払わなければならないのでしょうか?
Q:メンズエステのセラピストに性的な接触をすると犯罪になる?
A:具体的な状況にもよりますが、強制わいせつ・強制性交等罪が成立する可能性は十分にあります。
メンズエステでのトラブルは少なくない
メンズエステとは一般的には、男性客にマッサージ、痩身、脱毛などの美容サービスを提供するエステサロンをいいます。
メンズエステの中には大手エステサロンが経営する男性向けのエステサロンのように、純粋な美容サービスを提供するお店もあります。
しかし、最近はマンションなどの一室で、男性客に女性セラピストがオイルマッサージなどのリラクゼーションサービスを提供するマンション型のメンズエステが増えてきました。
こちらの業態のお店を「メンズエステ」と呼ぶことも多いようです。
こうしたマンション型のメンズエステの中には、鼠径部のオイルマッサージ、サービス女性セラピストの衣装を指定できる、といったきわどいサービスを提供しているお店もあり、風営法との関係できわめてグレーな業態になっています。
このタイプのメンズエステが爆発的に増える中、いわゆる「健全店」であっても摘発されるケースも出てきました。
とはいえ、メンズエステは風俗店ではなく、あくまでもリラクゼーションサービスを提供するという建前で営業しているサロンです。
なかには「裏オプション」として性的なサービスを提供するお店もあるようですが、少なくとも建前上、性的なサービスを提供しないということになっています。
利用客も「性的行為をしない」という規約にサインしてサービスを受けていますので、実際にセラピストに対して性的な接触を行ってしまうと法的には問題にならざるを得ません。
過去に弁護士も、メンズエステで本番をやってしまい、お店に「示談金を払え」と言われた相談者さんの事件を扱ったことがあります。
セラピストから性的なサービスを含むオプションを持ちかけてくるケースもあるようですが、性的なサービス自体が問題行為ですので、後のトラブルの原因になるのは間違いありません。
セラピストと性的な接触をしてしまい、お店にバレた場合にとるべき対応
相談者さんはセラピストに性的な接触をしてしまい、それがお店にバレたということですが、お店側に「示談するか、警察に行くか」と言われたら正直なところ反論はしにくいと思われます。
胸や陰部を触るなどした場合は強制わいせつ罪、本番行為をしてしまった場合は強制性交等罪が成立する可能性があるからです。
こうしたケースで客側がとりうる選択肢は2つしかありません。
示談金を払って終わらせる
まず、示談金を支払い、刑事事件化する前に事件を終わらせるという方法が考えられます。
セラピストとの同意があった場合であっても、裁判などで争うとなると後述のように逮捕されるリスクもありますので、「ややこしいことは避けたいからお金を払って終わらせる」という選択肢はアリです。
もっとも、ここで注意しなければならないことが1点あります。
それは必ずセラピスト本人と示談をするということです。
被害者はあくまでもセラピストですので、本来はセラピストが賠償金や示談金を請求するのが筋です。
店には示談金を請求する権利はないので、弁護士が示談交渉をする場合には必ずセラピスト本人と示談をしてサインをもらい、お金もセラピストに支払うようにしています。
店側がセラピストの交渉窓口になっている場合もあると思いますが、一般論として示談交渉を本人が行うのはリスクがある行為です。
法的に意味のある示談を成立させるためにも、弁護士に交渉を任せることをおすすめします。
なお、「示談金を支払わなかったら身分証、写真をSNSで晒す」と店側が言い出した場合、店側の行為は「恐喝」にあたり、店側に犯罪が成立します。
もし店からそういった話が出た場合は、弁護士が「法的には問題がある」旨を指摘し、晒し行為をしないように相手を説得しますので、ご安心いただければと思います。
リスク覚悟で徹底的に争う
また、状況にもよりますが、示談金は支払わずにリスク覚悟で徹底的に争う選択肢もありえます。
相談者さんが「同意があった」と主張しており、さらに同意があったことを示すようなカメラや録音などの証拠が残っている状況であれば、弁護士の目から見ても裁判で戦うのは不可能ではありません。
では、どちらの方法を取るべきか?
示談金を支払って事件を終わらせるのか、それとも戦うのか。
どちらを選ぶにせよ、一番大切なのは相談者さんの気持ちです。
弁護士も相談者さんの意向を尊重しつつ、アドバイスをすることになるかと思います。
ただ、このケースだと強制わいせつですので、被害届が出されたら逮捕されるリスクはあります。
「逮捕を絶対に避けたい」ということであれば、示談金を払って被害届を取り下げてもらう、不起訴を目指すという方法を取らざるを得ないかもしれません。
どの方法を希望されるにしても、それぞれの方法のメリット・リスクを説明し、相談者さんが納得して進めるようにアドバイスを行いますのでご安心いただければと思います。
示談が成立した後にさらに示談金を請求される可能性はある?
「示談金を払う覚悟はしたけど、示談後にさらに相手からお金を請求されることはないのか」と不安に思われる方もいるかもしれません。
弁護士が示談交渉を行い、示談書を作った場合、示談書には「この示談で金銭的な賠償問題は解決している」「今回の事件について口外しない」といった内容が盛り込まれます。
したがって、示談後にさらに被害者からお金を請求されるということにはなりません。
また、口外しないという約束を相手方が破って、周囲に喋ったりした場合には違約金を設定していますので、示談後に被害者の周りの人から脅されるというリスクも抑えられます。
周りの人が脅す、イコール被害者が事件についてしゃべっているということになるので、契約違反ということで、きちんと責任を追求します。
弁護士からのメッセージ
メンズエステは性的なサービスを提供しない建前になっているとはいえ、セラピストの方からきわどい部分のマッサージを提供することもあるなど、グレーゾーンなお店だからこそのリスクがあります。
実際メンズエステをめぐるトラブルは少なくありません。
万が一施術後にトラブルになった場合は、すぐに弁護士に相談していただければと思います。