スピード違反で逮捕される可能性は?
数ある交通違反の中でもスピード違反はついついやってしまいがちなもの。ですが、実はスピード違反も法律で罰則が定められた「犯罪行為」です。その意味では、私たちが加害者になりやすい身近な犯罪といえるかもしれません。ここではスピード違反の罰則や逮捕される場合について紹介します。
そもそもスピード違反とは
そもそもスピード違反は「速度超過」のことをいいます。
具体的には、道路標識等で指示された最高速度、特にこれらの指定がない道路については政令が定める法定速度を超える速度で車やバイクを運転した場合です。ちなみに、法定速度は一般道で時速60km、高速道路で時速100kmとなっています。
こうした道路標識や政令で事前に定められた最高速度を超えるスピードで車やバイクを疾走させた場合、スピード違反があったとして警察に検挙され、行政処分・刑事処分を受ける可能性があります。
スピード違反を行うとどうなる?
スピード違反で検挙された場合、考えられるペナルティとしては行政処分、刑事処分の2種類が考えられます。
行政処分
スピード違反は道路交通法違反にあたる行為であり、違反者には反則金の支払いなどのペナルティが課せられます。
反則金は交通違反通告制度により課せられるもので、軽微な交通違反については反則金を支払うことで刑事処分を避けられるというものです。
「ペナルティとしてお金を払う」点では罰金と似ているものの、反則金は刑罰である罰金とは違う性質を持つものです。刑罰として科されるものではないため、反則金は支払っても前科にはなりません。一方、罰金刑になった場合には前科がつきます。
また、他にもスピード違反などの交通違反については点数制度による行政処分も考えられます。
これは運転者が違反行為や交通事故を起こした場合に一定の点数を受け、過去3年間の累積点数等に応じたペナルティを課す制度です。
悪質なスピード違反については一度に6点以上が加点され、1回のスピード違反が原因で免許停止・免許取消になることもあります。
なお、前にも行政処分を受けたことがある人についてはより処分が重くなります。
刑事処分
スピード違反は道路交通法に違反する犯罪行為として、刑罰も定められています。
その法定刑は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
これは刑事処分にあたるため、懲役・罰金いずれの場合も前科がつくことになります。
もっともちょっとしたスピード違反といった軽微な交通違反の場合、前述の通り交通違反通告制度の手続きによって行政処分にとどまり、刑事処分まで至らないケースも多いです。
スピード違反で逮捕される場合
多くのスピード違反は行政処分で終わってしまうため、逮捕に至るケースはそこまで多くはありません。
それでも逮捕されてしまうケースとしては、次のようなものがあります。
人身事故を起こしていた場合
スピード違反をし、さらに人身事故を起こした場合は逮捕される可能性があります。
人身事故で人をケガさせたり死なせてしまったりする行為は重大な犯罪にあたる行為です。
それだけに逮捕される可能性は高いといえるでしょう。
複数の交通違反行為をやっている場合
無免許運転、飲酒運転といった、スピード違反の他にも交通違反行為をやっていたことが発覚した場合も逮捕される可能性があります。
逃げようとした場合
逮捕による身柄拘束が正当化されるのは、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に限定されています。
スピード違反を起こした場合、警察が該当する車に停止命令を出すことがあります。このとき命令を無視して逃げてしまうと、逃亡のおそれありとして逮捕される可能性があります。
警察や検察からの呼び出しに応じなかった場合
その場で逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性もあります。
捜査機関の呼び出しに複数回応じなかった場合、逃亡のおそれありとして逮捕されるおそれがあります。
逮捕された場合はどうなるのか
それでは実際に逮捕された場合、容疑者とされた人にはどのような状況が待っているのでしょうか。以下、時系列を追って見ていくことにしましょう。
逮捕・勾留
逮捕された場合、身体を拘束され、捜査機関からの取調べを受けることになります。
勾留されると拘束期間が長引く可能性が高く、最大23日間は自宅に帰れません。そのため職場を解雇されるなど社会的な不利益を被る可能性も高くなります。
起訴
取調べが終わると検察官が起訴するかどうかを決めます。
もっとも逮捕されるのはスピード違反の中でも悪質なケースであることから、起訴される可能性は高いです。
起訴されると刑事裁判にかけられ、有罪と認められると刑罰が科されることになります。
なお、起訴には公判請求と略式命令請求があり、検察官が裁量で決めます。
前者は一般的にイメージされる刑事裁判、略式命令請求は罰金刑のときに行われる簡易な手続きによる裁判です。
スピード違反で逮捕されそうになった場合の相談は弁護士に
刑事裁判で罰金以上の刑が確定した場合、執行猶予がついたとしても社会的に大きな不利益を被る可能性が高くなります。国家資格保有者については資格制限を受けることになるからです。また公務員の場合は禁固以上の刑が確定すると失職してしまいます。
もしスピード違反で逮捕されそうになった場合は一度弁護士に相談していただければと思います。